オジン機長その3 セミの脱皮

セミの脱皮

 朝早く目が覚めた。

 まだ薄暗い。今日も暑くなる天気予報である。

 新聞を読もうと外にある新聞受けに行った。

 門の柱にセミの幼虫が止まり、今まさにセミが脱皮するところであった。

 別に用事もないのでしばらくセミの様子を」見よう。

 まだ羽は濡れているようで黄色い色のセミが段々とセミの色に変化する。

不思議だなーー。

 幼虫の殻からで出たセミは、まだじっとしている。

 俺と目が合った。

 セミの目がぎょろりと動いたような気がする。

 おはよう、セミさん声をかける。

 返事がない、 生まれ出て最初に眼があったので、俺をパパと思ったのか。

 鶴の物語で鶴が生まれ出る瞬間に立ち会った、人が鶴を自分の子供の様にかわいがり、鶴と戯れている映画をいつか見たな。

 このセミも俺をパパと思って眺めているのか。

 30分後退屈なので、又、セミを見に行った。

 完全に幼虫の殻から抜け出て、完全なセミになったいた。

 まだ、飛ばないのか。

 じっとセミの目を見る。

 セミさんも俺の顔を見ている。逃げない。

 何と、セミの前足が上下に動いた、

 おはようパパさんと言っているのか。

 よくぞ生まれてきたなセミサン。

 土の中は大変だったろう。

7年間以上も土の中で生活したセミサン。

 モグラやミミズ、カブトムシの幼虫と戦いながら生き延びたセミサン。、

 ようやく、地上に出れて殻から出る瞬間に鳥や蜘蛛に食べられるセミさん、 

お前さんはよかったなーー。

 優しい俺とゆうパパと出会えて。

 人生、いや、君の一生には出会いが大切だ。

 悪いカラスや蜘蛛に出会わずによかったな。

 早く飛んで仲間の所へ行けよ。

 手で軽く押しても動かない。

 むしろ、俺の手の中に動いてやって来た。

 こんなに俺を信用しているのか。

 この世の中で最初に出会ったからな。

 俺の手の中で動いているセミは俺になついたのか。

 早く仲間の所へ行けよ、そして早く彼女を探せ、1週間の命だぞ。

 庭の木の所に行き,木に止めてやった。

 まだ俺を見ている、頑張れよ。

 負けるな、セミを激励した。

 ミーン、ミーン 私はここで頑張って生きていますよ。」

 窓の外からセミが俺に挨拶をした。