飛行機のトイレ
2度と乗りたくない飛行機。
汲み取り式のポットントイレ。
今どきこのような、形の飛行機のトイレはない。
バッキュウム プロアで処理され、水を流すと、ブシュー、シュウゴーと大きな音がして、すざましい 速さで汚物は流れ去る。
飛行機の汚水タンクは、飛行機の後方の与圧されていない場所にある。
機内は与圧されているので、その気圧差で少ない水で流れ去る。
トイレに何か物を落として水を流すと、物は汚物タンクに行ってしまう。
そこら辺にはないので、あきらめてもらう。
もし、トイレの中に足を入れたまま、水を流すと足は吸い込まれて取れなくなるかもしれない。
気圧の違いによる吸い込みの強さは、すざましい。
地上でのトイレの汚水は掃除機の原理で処理されている。
昭和20年代、30年代に飛んでいた、飛行機のトイレはこのような構造ではない。
汚物タンクはなかったのだ。
つまり、お客様がトイレを使用した後は、汚物は空中に投げ出していた。
ウンチは空中で霧状になり消え去る。
当時は鉄道も垂れ流しであった。
汽車の線路は黒い塊で汚く、汚れていたものだ。
昭和20年代、30年代に羽田やその他の飛行場に見学に行ったときに、上空を飛行する飛行機を見ているときに、晴れているのに、雨粒が当たったのは、お客さんのオシッコかもしれない。
昭和30年代に飛行機の訓練を受けたときのトイレを思い出す。
メンター、T6などの初級訓練機は前と後ろの2人乗り。
小便用のジョウゴが操縦席の下にあったかもしれない。
一升瓶に水を入れる道具のようなものだ。
怒鳴られ、小突かれ、蹴とばされての操縦訓練であったので、訓練中は、おしっこなどは1度もしたことがなかった。
操縦訓練が終了して対潜哨戒の飛行機で仕事をした時もトイレは大変であった。
P2V-7という飛行機で12人乗り。
いつも、10時間、14時間長時間の哨戒任務であった。 海上を飛びっぱなし。
小便用のジョウゴは飛行機の真ん中に一つしかない。
その周りには、航空士や電波逆探知マン、レーダーマンの人たちが仕事をしている。
集中して小便は出来ない。
冬場などは、前に使用した人間が、小便用の凍結防止装置のスイッチを忘れて入れて、いなかったり、オフにしたままの後で、使用したら大変だ。
飛行中に小便を外に出す管が凍るため、自分がしたオシッコは、逆流する。
ズボンの前はグッショグショ。
自分の顔に小便がひっかっかる時もある..
小便器の周りのクリューは大騒ぎ。
大変な思いをして、小便をした思い出がある。
こんなこともあって、フライト前はどんなに忙しくても、トイレはすまして登場したものだ。
10時間、12時間小便を我慢して仕事をするのは、油汗のかく思いであった。
そのためか、現在、老年になって、前立腺が悪くなったのは、この仕事の後遺症であると思う。
俺にも元気いっぱいで、コロナに負けない若かった時代があるのだ。