飛行日誌 俺の命
終活のため、整理をしていると、古い飛行機日誌が出てきた。
俺が初めて、飛行機に、障った時の記録である。
飛行学生になり、地上で2年間の飛行基本訓練を受けたが、おかげで強い体と。少しばかりの飛行知識を身に付けての、飛行実機訓練である。
最初に、俺が飛行訓練を受けた飛行機は、メンターという、2人乗りの飛行機であった。
前席に学生、後席に教官が乗る。
セスナ機の一番小さい型式であるが、プロペラ機でこのような訓練機は、現在はない。
当時は、この飛行機で、限られた少ない時間内で一人で飛行できないものは、首、パイロットにはなれなかった。
そのため、俺なりに死にもの繰りで勉強したものだ。
その記録が、この飛行日誌。
懐かしい、若き頃を思い出す。
飛行訓練を受けてその、評価を、教官が訓練終了後、いろいろ教えてくれる。
それを、一言でも聞き逃さないように、メモして、明日の訓練に生かすための日誌。
そして、その日のフライトの感想も記入する。
初めてメンターで空を飛んだ時には、俺の感想文では、かなり興奮して書いてあった。
空はいいなーー 俺も空を飛んだんだと。
その後の日誌には教官から、怒鳴られ蹴とばされ教えられたことが、書いてある。
上空での各項目の手順を忘れる。
馬鹿者。 お前は首だぞ。
パイロットの3割頭というのが教官の口癖であった。
上空に上がると酸素不足のためか、地上で何十回も手足を使って、訓練して覚えたはずの、手順がすべて忘れてしまう。
不思議な現象だ、
おぼえていた物の7割は忘れてしまうのだ。
元々、脳みその良く発達していない俺の頭は、今でも3割頭。
しかし緊張感がなくなり、飛行機になれ、空中に慣れてくると、自然と各項目の手順が身に付き、飛行機は空中で安定する。
その結果、教官から今日は一人で飛んで来い、と言われた時の感激は、忘れることが出来ない。
ヤッター 俺は一人で空を飛べたぞ。
俺の命
空にあこがれ
空を駆けていく、俺の命はジェットストリューム。
俺の命は飛行機雲。
空に抱かれて、風と戯れ、雲と遊ぶ。
飛んでけ、飛んでけ、地球の果てまで。
飛んでけ、飛んでけ、宇宙の果てまで
(作詞、俺)。
なんだかんだと、注意され、怒られながらも、ヨチヨチ歩きで空の仲間になれた、時の飛行日誌。
処分しようと、ごみ箱に入れたが、又取り出してしまう。
なかなか、終活は出来ません。