坂井三郎先輩
俺の長い人生で影響を受けた人物は誰か。
少年時代は美空ひばり、
青年時代は坂井三郎氏である。
パイロット訓練生で、入隊して、基礎訓練時代にお会いした人物だ。
何も知らず入隊したが、入隊翌日からの訓練は想像以上のものがあった。
その厳しい訓練をしてくれたのが、特攻隊の生き残りの、S分隊士。
彼は、我々訓練生を朝、昼、夜、深夜まで鍛えてくれた。
自分の家庭があるのに、我々と同じように部隊に泊まり込みで。朝も早朝より我々と一緒に起きて、駆け足など行った、
年齢は30年代と思ったが、よくぞ若者の我々と同じように行動できたものだ。
訓練中は鬼と恐れたが今考えると、S分隊士の訓練のお陰で、機長になれたし、現在がある。 感謝感激である。
そのS分隊士と一緒に館山で訓練中、東京に出かけた時に、坂井三郎氏と会うことが出来た。
S分隊士は、ゼロ戦の勇士で坂井三郎の3番器として乗務したことがる。
坂井機長は自分の列幾は必ず守り、戦死者は出していない。
坂井氏の部下だったS分隊士とは、話尽きない。
当時坂井氏は羽田の近くで印刷工場をしていた。
戦後の雑誌で丸という、雑誌を印刷していたと思う。
歴戦の勇士 坂井三郎氏はどんな人物だろう。
最初にお会いした時は、どこにでもいる、おじさんの容姿だった、
身長は俺よりも低く、痩せていた。
目玉の一つは義眼であった。
それでも片方の目の眼光は、厳しく俺たち訓練生に突き刺さる。
でもお話は穏やかで優しかった。
君たちは若い。若いうちは体を鍛えよ。
特にパイロットに重要は目玉を鍛えよ。
毎日、森を見よ、空をみよ。
目の視力は鍛えられる。
坂井氏は、今でも昼に星が見えるという。
エツーー昼に星が見えるものか。
みんなびっくりした。
当時の飛行機の航法では、今のようなGPS
等はない。
すべて、太陽や月、星の高さを測り。計算して、自分の位置を出す。
太陽からの線と月からの線の交点が自分の位置となる。
これに星からの線が交わればさらに正確な自分の位置となる。
当時はまだレーダーなどなかったので、鍛えた視力で相手より先に敵を見つけ作戦を立て、攻撃したという、すごい。