坂井三郎先輩 その2
おれの訓練生時代に、心構えを教えてくれた坂井氏、
その教えにより、無事に機長になり、千葉に転勤した。
千葉の時代に、また坂井先生とお会い出来た。
S分隊士の取り計らいで、部隊の隊員の前で講演を行っていただいた、
その講演のお話の中で人間には帰巣本能があるという話である。
ラバールから出撃してガタルカナルで戦闘が始まる。
何機か撃ち落としたが、最後に自分もやられた。
飛行の帽子を被っていたので、目の周りの防具の金具に相手の弾が当たった、
顔面血まれになったが、頭の中には玉は行かなかった。
止血をしながらラバールまで、意識もうろうとして,帰る、
その時に帰巣本能で帰ったいう、
お父さんが、お酒を飲みすぎて、ぐでんぐでん、になっても家に帰りつくと同じ現象だ。
俺も若い時には飲みすぎて電車の終点まで行った思い出がある。
坂井氏は、片目失明と出血に喘ぎながら、千百KMを、襲い来る睡魔と戦いながら、4時間半の飛行を終えてラバウル基地にたどりついた。
誰もがもうだめだろうと思っていたのに、
素晴らし能力。
その能力はどうして出来るか。
原理は、酔っ払いのお父さんと同じ原理だ。
お父さんは、いつも同じ手順で、同じ道のりを毎日毎日、会社に通勤する。
自然と行動パターンが体に染みつく。
その結果、どんな状態でも家に帰ることが出来ると坂井氏はおしゃっていた、
俺の帰巣本能は、ちょっと違うのかな、
初めてのホテルに宿泊して、夜中に寝ぼけて、起きだしホテルの部屋のドアーに小用をしようとして、目が覚めた。
自宅のトイレの位置と違うのに、
これは帰巣本能ではないな。
会社のいつも行く沢山あるトイレでも、決まったトイレでないと落ち着かない。
小用の時でも、前から何番目の所だと落ち着く。
その場所が、他人が使用していると、悔しい気分になる、
犬のションベンも、犬は片足を上げて、電信柱にひっかける、
木にするが、犬のショウウベン。
毎日基本に忠実に仕事を行うと、帰巣本能は高まると。
正しい生活リズムを繰り返し、楽しい人生を楽しもうではありませんか、
もう、俺もあまりお酒は飲まない方がいいかも。