知床岬

イーチャン

 知床岬

 2年前の9月コロナの最盛期の中、こっそりと北海道の旅行をした。

 ツアーの最大の売りは知床半島のさらに先まで、観光出来ますというものだ。

 それを楽しみに出かけたが、知床半島観光の船に乗る日は、朝になって出発前に、突然本日の観光船による、見学は海が荒天のため、中止になりました。

 陸地からの、知床観光になります、とツアーの添乗員の説明があった。

 観光客には、ぶつぶつ文句を言う人もいた、

 俺も添乗員は、昨日から、観光船のキャンセルを知っているのに、と文句を言いたかったが、黙っていた。

 なぜなら、前日から。天候が悪く、風も強いので、こんな天候では、船は出せないなと俺なりに、思っていたからだ。

 R4年、4月23日、知床の観光船が遭難した。他の会社の観光船が荒天により、中止にしているのに、その会社だけが、強行して、知床の先端目指して、出航した。

 無線機も、故障していたという。遭難した船の社長の会見をテレビで見たが、完全なる、ずさんな、船の運航管理だ。

 亡くなられた、26名の方のご冥福をお祈りします。

 約40年前、知床半島がまだ、世界遺産になる前の旅行は楽しかった。

 観光船の上では、大きなカモメが、俺の手の上の、河童エビセンの餌を、動いている船のデッキでついばむ。

 カオウーー。カオウーと鳴きながら。

 これが自然か、かわいい綺麗なカモメが何十匹も観光船と、お客と一緒に観光する。

 素晴らしい、知床の景色と共に。

 感動したなーーー

 船の中では、スピーカーで知床旅情の歌が流れる。

 歌うは、森繁久弥

 知床の岬にハマナスの咲くころ

 思い出しておくれ俺たちのことを

飲んで騒いで丘に、登れば、遥かクナシリに白夜は開ける

 いいなあー 知床観光船の上で知床の海と海岸の景色を、かもめと一緒に、この歌を聞いていると、なぜかしら、ジーンと来て、涙が出たことを思い出す。

 その後、何度か、知床観光船に乗ったが、いつの間にか、カモメに餌を与えないで下さい、になってしまい、知床旅情の歌も、歌い手が、加藤登紀子さんになっていた、

 やっぱり、観光船の上で聴く、知床旅情は森繁さんの歌がいいなー

 シレトコノミサキニーー

思わず口ずさんでしまう。