煙草の思い出その3

                                   横浜

 煙草の思い出 その3

 昭和40年代、ラグビーの練習を、継続した関係で 俺は禁煙が出来た。

 それ以降、俺は、たばこの害やその他の理由で、たばこを吸う習慣は無くなっている。

 しかし、長い間、たばこを吸っていたので、喫煙者の気持は、十分理解できる。

 朝起きた時や夕飯の後のたばこの旨さを知っているからだ。

 所で、狭い飛行機のコクピットの中で、ぷかぷかと煙草を吹かす、副操縦士の行為は、気になるが煙草を吸うなとは、言えなかった。

 しばらく、たばこを吸う福操縦士を観察する。

 冷ややかな目で見ていた。

 羽田で飛行機が混みあった時などは、飛行機のドアが閉まってから、離陸まで30分以上かかるのは、いつもだ。

 やっと離陸出来て、上昇中 離陸後の操作終了のクライムチャックリストを終了して、まだ忙しいのに、管制官とのやり取り中に、まずは、煙草に火をつけて、煙を吐き出す。

 あちこちの揺れそうな雲を避けながら、やっと雲上快晴の巡行高度に達する。

 やれやれ、まずは、たばこを一服。

 会社の連絡、最新の目的地の天候等を入手して、機内アナウンスを行う、

 そして、又煙草を吹かす。

 ぼちぼち目的地近くまで、飛行機が近づいたので、降下準備をする、

 ここで、たばこを一服。

 降下して、間もなく、ノースモキングサインを、付ける前に、一服する。

 合計ざっと5本がワンフライトに必要になる。

 これを元に、今日1日のたばこは、何本必要か、用意するわけだ、

 一服、一服それなりの理由で煙草を吸う時期であるのは、理解できる。

 羽田―女満別、羽田―鹿児島は、ジェット機で約2時間弱。

 2時間で5本のたばこか。 

 愛煙家にしては、普通のことだ。

 ところが、千歳―函館、徳島―大阪のフライトでも、愛煙家は、この5本のたばこを吸う人もいる。

 徳島―大阪は15分位の行程だ。

 離陸して、着理するまでの間には、沢山のコクピットの作業がある、その間に、いつもように、たばこに火をつけて、そしてすぐにタバコの火を消す、余裕の時間はない。

 それを器用にこなす、愛煙家もいる。

 操縦技術よりもすごい、たばこ吸い技術だ。

 感心よりも、驚いてしまう。

 まあいいか、のんびりした、良き時代でした・。

 その15分の行程の中で、作業をしながら、昼飯の弁当迄、食べることが出来る、機長もいたな。

 コクピット内、禁煙になった、現在は、さぞかし、愛煙家には、つらい事だろう。

 時代の変化か。