煙草の思い出 その1

                           我が家の7草粥

 タバコの思い出 その1

 俺は高校3年生の3学期から煙草を吸っていた。

 昭和30年、40年はたばこ時代だ。

 煙草を吸わないのは男ではない、という風潮の時代であった。

 どこの場所でも、たばこを吸っても文句が出ない時代。

 現在の様に市長が煙草を吸ってポイ捨てして、新聞やニュースになる時代ではない。

 もうすぐ高校卒業、俺も男になるぞ。

 親に隠れて、オヤジのたばこを、掠め取った。

 高校時代、アルバイトが出来たので、自分の小遣いで煙草を購入した、

 バット、いこい、新生、安いたばこばかりだ。

 かっこつけて、女の子の前で、たばこの煙を吐いて,粋がったものだ、

馬鹿者だった俺。

 航空学生になり、激しい訓練の中でも、たばこは止めなかった。

 やめることが、出来なかったのが本心だ。

 夕食後や朝起きた時のたばこの旨さは格別の味がしたからだ。

 その後、俺も成長して、大人になる。

 航空学生時代からのラグビーの選手として活動は、30歳過ぎ迄、続けていた。

 ラグビーの出来る最盛期は、27歳くらいかな。

 がむしゃらに、突っ込み、タックルするには、体力が必要なのだ。

 27歳くらいから、なぜか体力が落ちるのを感じる。

 その体力が落ちる分、今度は頭を使って、ラグビーの攻撃に参加する、

 頭も体力も30歳を過ぎるころから、20代の様に働くなる。

 それでもラグビーは、好きだからやりたい。

 ラグビーで相手にタックルしたい、スクラムで5CM前に出たい、密集から抜き出て、トライをしたい。

 ラグビーで最後の力を生み出すためには、どうするか。

 俺の弱い頭で考えだしたのが、禁煙だ。

 試しに禁煙してラグビーの練習をすると、スクラムで2CM前に進むことが出来た。

 禁煙するぞ、ラグビー仲間に宣言した、

 禁煙なんて出来るわけないだろうと、仲間から、笑われた。

 これが良かった。

 俺の気持が定まる。

 ポケットに煙草を入れて、吸いたくなったら、手で触り。よしよし。煙草を吸った気分になる。

 どうしても我慢が出来ないときは、ガムを噛んで、たばこは吸わない。

 自分の気持と戦いながら、32歳で煙草を止めることが出来た。

 めでたし めでたし。