彼岸 悲願

                         横浜大桟橋

彼岸 悲願

 最近、パソコンでユーチユーブを見ている。

 剣道と文字を入れて、検索のボタンを押すと、沢山の剣道の動画を見ることが出来る。

 便利な世の中になったものだ。

 50年前、俺が剣道を始めたころには、そのような、動画を見たことはない、

 剣道の上達の方法は、偉い先生のお話を聴いて、勉強したのだ。

 当時有名な剣道8段の先生の、教えは。

 剣道は、手で打つな、足で打て。

 足で打たずに、腰で打て。

 腰で打たずに、心で打て。

 心で打て、か、

 教えを受けた時は、なるほどと理解した。

 しかし、具体的にはどうするか。

 先生、心で打つのは、具体的にはどうするのですか。

 平常の時に質問するのは、失礼だと思い。稽古の後の、飲み会で、先生が酔っぱらった頃に、俺は質問した。

 それは、看取り稽古と言って、自分が、稽古をしていないときに、上段者の先生の、体の動き、手の動き、足の動きを、良く観察する。

 そして、その技の、極意を盗み取るのじゃ。

 ははーーー

 なるほど、そうはいっても、鈍感な俺は、先生の動きを見ても、よく分からなかった、

 それに比べて、パソコンの剣道指南の動画は、分かりやすい。

 動画の中の先生が、手の動き、足の動き、腰の動きを分かりやすく、説明してくれて、いる。 盗み取らなくても、剣道の動きのコツを、丁寧に教えてくれるのだ。

 50年前の剣道指南とは、全然異なる。

 最近、見つけた動画は、大阪の教士8段

佐藤誠先生の、剣道の教えは、大変、参考になった。

 手の動き、足の動き、腰の動きを。分かりやすく、楽しい語りで、教えている。

 素晴らしい、

 相手の心の動きまで、説明していた。

 すごいな、こんな親切な先生もいるのだ。

 その先生が最後に、昔、平安時代から鎌倉時代に、武士であぅた西行法師の教えを、話しているのが、印象的であった、

 西行法師は、彼岸(悟りの境地)悲願、ぜひともなり遂げたいと思う、願いは、剣道7段に合格することや、試合で相手に勝つことのみに、あらず。

 毎日の日常の生活、毎日の剣道の稽古の中に、こそ、彼岸は存在すのだ。

 先生は、おっしゃっていた。

 なるほど、な、

 毎日の生活、毎回の剣道稽古こそ、剣道の本当の教えなのだ。

 酒を飲んで、生活をおろそかにしたり、剣道稽古を、ずる休もうと思う、俺には、ずきんと心に突き刺さる言葉である、