剣道後遺症その1

剣道後遺症 その1

 高齢になった現在でも剣道は続けている。

 毎週、3回は、近くの小学校の体育館をお借りして、稽古に励む。

 3回の稽古の内、2回は、小学生との稽古になる。

 この2回の稽古は、子供たちの交流になり楽しい。

 しかし、自分の稽古には、ならない。

 この子供達との楽しい稽古のため、俺の命が延びていると思う。

 感謝している。

 この剣道の稽古が出来なくなる時が、俺の寿命と思って、頑張っている。

 子供達の中には、ご父兄も一緒に稽古をする、

 全員剣道初心者。

 元立ちになり、教える方も大変だ。

 面打ちは真っすぐ、手を伸ばして。

 足はすり足。

 もっと、竹刀を頭の上に。

 自分が、満足に出来ないのに、教科書、どうりに、教えなければならない、

 従って、指導者は剣道の勉強もしなければいけない。

 剣道初心者の人の、剣道の打ちは強烈だ、

 どこに、そんな、馬鹿力があるの。

 ちゃんと、防具のあるところを打ってください。

 胴の防具の上を打たないで下さい。

 なんで、そんな、所を打つの。

 相手の体が後ろを見ているときに打つのは反則です、打ってはいけません。

 指導が難しく、忙しい。

 胴を剣道の素人に打たせるときは、要注意だ。

 胴の防具と脇下のちょっとした、隙間を打たれる時は最悪だ。

 俺のあばら骨が悲鳴を上げる。

 アイタターーアイタターー

 指導者は、うろたえてはいけません。

 平然と構えて、稽古を続けるが、家に帰って、サロンパスを、あばら骨に貼っても、痛い日が続く。

 また、剣道で小手を、素人に打たせる時も大変だ。

 ドテッバギッ

 思い切っての素人の馬鹿力で打たれる。

 俺の、右手にあざが出来る。

 もう少し力を抜いて、打つときは手を占めて、軽く打つ。

 痛いとは、言わずに指導する。

 剣道の小手は手首から、肘までデス。

 手のひらの後ろでは、ありません。

 まして。小指ではありません。

 防具を付けていても、防具皮の薄い、手の平の後部を打たれると、2-3日は、腫れた手は治らない。

 この、怪我のことは、家内には話せない。

 話すと、馬鹿――剣道バカ、剣道なんか、やめたらーー

 いい加減ジーサンなのだから。

 うるさい、俺の人生だ。

 夫婦喧嘩の始まりだ。