緊急脱出訓練

                                目黒の夜桜

緊急脱出訓練

 夢を見た。それは、航空機が火災になり、コクピットの窓から、脱出する訓練の夢だ。

 現役から数十年経過してもこんな夢を見るのか。

 俺の脳細胞に異常はないのか。心配だ。

 現役の時には、毎年一回緊急脱出訓練の日があった。

 その日は、朝9時から授業が始まる。

 午前中は、緊急操作や、緊急時の対応業務、サバイバルなどの地上座学を行う。

 午後は楽しみな訓練だ。

 それは、きれいな若々しいデスさんと一緒の訓練になる。

 デスさんと一緒に、緊急脱出訓練を行うのだ。

 頭を付けて、頭を付けて。

 緊急着陸をする。

 航空機停止。

 脱出、スライド降ろせ。

 そこから、全員脱出シートを使って、上から、下へ脱出する。

 しっかり手を前に出して、お尻から飛び出さないと脱出シートからはみ出して、横に落ちたりする。

 降りた後も、態勢に注意しないと、前に転んでしまう。

 全員脱出後、教官からのブリーフイングがあり、終了になる。

 国際線の乗員は、この訓練に加えて、プールに脱出ボート(脱出シュウトがボートになる)で脱出訓練を行う。

 真剣な表情で訓練をする若いデスさんを見るのも楽しみだつた。

 その後、別な訓練で、乗員はセットされたコクピットから、緊急ロープを使ってコクピットの窓から脱出する、訓練も行う。

 俺の、今朝見た夢は、この場面だ。

 この訓練の時、60歳近くになった俺は、訓練教官に、もう年だから、やったことに、してくれないかと、お願いした。

 ダメです、 脱出には年齢は関係ありません、

 分かりました、やります、心の中で何と融通の利かない教官だなと、思った、

 海上自衛隊の脱出訓練は、これよりも厳しかった、

 プールに滑り台を作り、滑り台の上には、操縦席が置かれ、操縦席にベルト、ショルダーハーネスでしばりつけ、そこからプール―へ、ドボーン。

 水の中で、ベルトを外し、ショルダーハーネスを外す、

 落ち着いて実施しなければ、水の中では、ベルトがなかなか外れない。

 げぼげぼと、プールの水を飲んだものだ。

 もちろん水中には教官がいて、助けてはくれるが、いい恥をかくことになる。

 そんな飛行機からの脱出訓練の、夢を見た。