旅たち

                                イーチャン

 旅たち

 年齢を重ねると、親しくしていた人の最近の訃報には、涙する。

 特に私より年齢の低い人の訃報には特に涙する。

 俺も年齢的には、すぐにでも旅たてる年齢になってしまった。

 そろそろ終活の用意をする年齢か、

 まずは、笑い話から

 3人の死にそうな老人に、一つだけ最後に望みをかなえてやる、何を希望しますかと神様が質問した。、

 一人目の老人

 思いっきりお酒を飲みたい、いいでしょう

 二人目の老人

 若い女性と一緒に眠りたい、眠るだけなら

 3人目老人

 死んだ家内に会いたい。

 神様は驚いた。3人目の老人には奥さんがいた。

 貴方まだ奥さんは健在ですよ、だから家内が俺より先に、旅立ってほしい。

 その後、俺は、ちょっとでもよいが、自由になりたいのだ。 神様は唖然とした。

 仏教の教え。

 3人の奥様と暮らす老人が最後の時を迎えた。一人目の本妻に一緒に旅立ってもらえないか、とんでもない,嫌です

 二人目の奥さんに尋ねた、本妻が嫌とゆうのに、なぜ私があなたと一緒なの、嫌です。

 3人目の奥さんは、お墓の近くまでお供しますと答えた。

 一人めの奥さんは、自分の肉体を示す、

 二人め奥さんは、財産、地位、名誉を示す。

 3人目は家族、知人、友人を示す。

 従って、旅たちは、自分自身、一人で旅立つのだ。

 現役で鹿児島勤務の時に、先輩機長にお世話になった。

 彼は、海軍の戦時時代の予科練出身である。

 終戦間際の予科練の訓練は厳しいものだった、。最後には飛行機の離陸操作しか、できない技量で特攻隊に行ったそうだ。

 辛くも生き残り、残りの人生を楽しむのだといつも言っていた、

 当時航空界もバブルのためか景気が良く、高いゴルフの会員権や別荘を持つ人がいた、

 先輩は、屋久島に土地を購入して丸太で出来た別荘を作った。

 先輩、なぜ、あの島ですか。

 あそこは絶景の場所だ、360度、海が見える、定年後はあそこに住むのだ、

 しかし、別荘の前は海で断崖になっていますね、

 それが良いのだ。

 丸太小屋からレールを作り海の絶壁に向ける、トロッコを用意する。

 俺が最後の時は、そのトロッコに乗る。

 スイッチを入れると、トロッコは、海が前にある断崖に進むのだ、

 同時に丸太小屋のそばの、高いポールに、日の丸が上がり、メロデイーが流れるのだ。

 メロデイはは海軍の海葬式に歌う、

 海―ゆかば みずーくかばねー

 の音楽が屋久島全部に聞こえるような装置を作るのだ。

 別訴に住むのは、奥さんも一緒なのですか。

 馬鹿いえ、俺一人だ

 あの先輩も鹿児島の自宅で家族に見守られ幸せに旅立ってしまった。

 屋久島のあの丸太小屋の別荘は、現在どうなったのかな。

 海ゆかば みずくかばね

 山ゆかば 草生すかばね

 海に行けば一滴の水になり

 山に行けば 1本の草になり

 国のため、君のため 散っていく。