E10A改

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 E10A改

 終活のため古い荷物を整理していたら、このE10Aが出てきた。

 懐かしい。

 昭和30年代、40年代の飛行機の運航においてはこの機器により、自分の現在の位置や、目的地までの所要時間、現在飛行している高度の風の方向、強さなどを操縦しながら計算していたものだ。

民間機においては、航空士の人がいてこの業務を行っていた。

 当時はこの機器がコンピューターと呼ばれこの機器がなければ飛行できないくらい大事なものだった。

 従ってこの機器に精通していなければ機長には、なれない。

 民間航空の機長になるための、最初の試験に航法2、がありこの試験に合格しなければ機長のには,なれなかった・。

 機長になるための飛行時間を経験しても、この航法の試験に合格出来ずに副操縦士で終わってしまったパイロットも多くいた。

 この航法の試験では、自分で気象庁のデーターで、上昇中の吹いている風の強さや、上空の飛行中の風の方向や強さなどを自分で判定して、現在飛行している自分の飛行機の速度を計算する。     

目的地には何時何分、何秒で到達するか。 飛行しながら、この計算機を使い算出する。

 目的地までの航法以外に,日出没の計算や海上を航行中の船と方位何度で、何時何分に会合出来るかという、会合法の問題もあった、

 つまり、戦時中の海軍の航空機に乗っていた、航空士の先輩がこの問題を作成していたのではないか。

 現在飛行中の民間機が海上を航行中の船に会合する必要があるのか、日の出や日が沈むのは現在飛行している飛行機になんで必要なのか。

 当時のパイロット仲間は、裏では、文句たらたらであった。

 当時の運輸省のお役人は偉くて、強かった。

 文句のあるものは機長にさせない。

 この試験は昭和45年ころまで続いたと思う。

 時間は2時間ですべての解答を出すために必死に勉強した。 

 まともにやっても時間が足りない。

 何度も何度も自宅でこの航法の問題を解くべく、頑張った先輩がいる。

試験中、時間がないために、このE10A改に紐をつけて、頭にかけ前に垂らす。

消しゴムを2つ紐で結んで首にかける。

そうしないと、消しゴムの位置が分からくなる。

 鉛筆は頭に手拭いをして、5-6本巻いた手拭いに差し込む。

 江戸時代の血闘シーンだ。

 鉛筆は、シュルケン、消しゴムは、目つぶし、何ともあわれな姿で機長のこの航法の試験を受ける機長の姿を想像あれ。

 このE10A改と一緒に使用した道具に、方向(方位)を出すためのプロッター(三角定規を大きくしたもの)、目的地までの距離を測るための、コンパス。

 懐かしなーー

 必死に勉強した時代が懐かしい。

 そして、この機長試験以外にも、現役時代仕事の時はいつも一緒に頑張ったE10A改。

 ありがとう、

現在の飛行機はコンピューターがすべてをやってくれる。

目的地まで方位や距離も自分で、チャートで測らなくとも、自動で電波機器が教えてくれる時代になった。

現在は、E10A改は、あまり必要とされない。