オジン機長その3 ラグビーその2

ラグビーその2

 俺の現在の体形は、腹の出っぱりを除いては、ラグビーによって作られた。

 パイロット訓練生での基礎訓練でラグビーを知った俺は、その後もラグビーを続けた。

 海上自衛隊では、毎年千人以上在籍の部隊では、ラグビ―大会が行われる。

 200人位の単位の各部署の対抗試合が行われた。

 機長になった後にも、この大会のため、35歳までラグビーを行った、

 30才過ぎると俺も体力がなくなっていく。

 ラグビーで大事な最後のダッシュ、突っ込みが鈍くなる。

 息が続かないのだ。

 それまでは、1日20本以上吸っていた煙草をやめた。

 ラグビーを続けるためには、禁煙は絶対であった、

 煙草を辞められたのはラグビーのおかげである。ありがとうラグビーさん。

 各部隊、ラグビーができる選手を20以上集め10月の大会のため試合の練習を4月ころより開始する。

 仕事が終了してからの練習なので、練習時間を確保するのが難しい。

 それでもラグビーが好きでやりたいという人間が集まる。

 俺もその仲間の一人だ。

 兵隊さんたちを集めて、いつの間にか、リーダーに祭り上げられた。

 そんなにラグビーが飛びぬけて上手にできいないくせに。

 各人、仕事があるので、15人の選手を集めるのが大変であった、

 各職場のえらいさんに、あの選手をどうか今年の大会に出してください。仕事は定時に終了させて練習に参加させてください。

 祭りあげられた俺は毎日人集めの作業までやらされた。

 上司の中には理解者もいて、ラグビ―チームの応援もしてくれる、えらいさんもいた。

 おかげで我がチームは、毎年部隊対抗では優勝する。

 優勝すると今度は全国の海上自衛隊大会に出る。

 その中の優秀なものが選ばれ、陸海空の自衛隊ラグビー大会が行われる。

 35才までパイロットの仕事と、ラグビーの練習ばかりしていた。

 おかげで、体形はラグビーボールの様になってしまった。 

 床屋さんで仰向けになり顔をカミソリでそってもらう時、決まってお客さん、もう少し首を伸ばしてくださいと言われる。

 俺は精一杯首を伸ばしているのに。

 オヤジは、首が短いなと息子からもからかわれる。

 うるさい、俺の首はラグビースクラムの練習のため縮んだのだ。太くて 立派な首だ。

 文句あるか。

 ないだろう、首が短くなるほどラグビーの練習をしたものだ。

 今は昔の物語り。 練習がきつかったがラグビーは楽しかった。 そして懐かしい。

 今でもやりたいと思う。

 もう無理か、この老体で。